壊 れ た 時 計 2002、1、27
アクリル板の下で
秒針がはずれていた
針があって電池のない
とまった時計といっしょ
結婚式の引き出物の
目覚まし時計
アラームと同時に
スロットマシンがオンになり
アラームを止めると
スロットも止まる
みごとに柄がそろうと
ピロリロピッピッピー
はずれの音は
「ソリャコマーーッタナー」
と聞こえる
外れた秒針はカラカラ動き
中心の軸にもどらない
蓋のねじを回し基板を外して
軸をひっぱったら今度は長針まで取れた
あ
余計なことを
電池が入っているから
軸は回転してる
でも 針がないので
時刻はわからない
そこで思い出した
時計屋の時計はみんな
10時7分頃だということを
あの角度を きれいだと思う人
が多いのか
あの頃 私は
短針と同じだと思っていた
たまたま10時7分になったから
長針と具合がよかった
でも 別れる時が来て
長針だけが去り
短針は取り残されて
いい角度は終わった
短針だけになった時計を見ていると
にわかに 意地になってきて
私はキリを持ち出して
ガスの火であぶり
アクリルガラスに穴あける
溶けないアクリルにてこずって
やっとあいた小さな穴に
クリップを延ばして針を押しても
なかなかはまらない
キリでもっと大きな穴をあけようと
こじこじしてたらバリっとヒビが
入って
その拍子に 板が外れた
外れた針を元に戻して
アクリルガラスをはめ直し
スロット・オンで大当たり
引き出物をくれた夫婦は離婚して
新しい人と暮らしてる
時計の針だけがこうして
もとのさやに収まった
人生にきく針治療ってないよね
だって 時計はいつも
個別の時間を刻んでいるんだから

この記事へのコメント
電池を新しいものと交換しました。
時刻は電波で合わせます。
電池230円しかかかりませんでした。